恋愛感染メール

自分の思いはどうして届かないのだろう?
 あの娘を目の前にするとき恥ずかしさでいっぱいの自分の心
好きだといって信じてもらえない気持ち。
この容姿がいけないのだろうか?
そんなことを考えながら、悶々とした日々をすごしていた。
 ふと、事務所で踊るように仕事をする彼女に歩を進めると、何かの気配を感じたのか
ビクンとする体を見ていた。
恐る恐るこちらに顔を向けて、あの告白を無かったことにされている。
「おはようございます。敦賀さん」
「おはよう、最上さん」
今日これからデートしないか?ときいてみるのもいいが、それを言って又逃げられたくは無い。
そして恐る恐る社へと目を向けるとそれを察知してか、ラブミー部の依頼をしていた。
 「又、敦賀さんご飯を召し上がってらっしゃらないのですか?この仕事が終わったら上がりですので、お部屋でお待ちしてます。」
俺も言われているとおり、たいがいへたれだよな〜と実感していた。
そんな風には昔は思っていなかった。
あの娘を前にしてへたれ度を上げている気がする。
いや、あの娘に限ってはどんな男もへたれに成り下がるであろう。
「じゃー最上さん、部屋のかぎ渡しておく。終わったらメールするから」
「はいわかりました。」
卑怯にもメールでも愛を囁くことが出来るだろう。
今は、面と向かって告白しても色よい返事はもらえないだろうから趣向を変えてメールでの告白もいいだろう。
***
この広い部屋で待っていると、寂しさが伝わってくる。
なんて広いのになんて寂しい部屋なのかしら。
ただ、敦賀さんは寂しいからそれを錯覚して告白をしたのかしら?
やがて1本のメールが届いた。
それは、告白のときのような甘く熱い気持ちと文章が羅列されていた。
そのメールで、彼の気持ちが感染したように自分にも恋愛感情を昂ぶらせる結果となった。
to最上さん。
subject 今から帰るよ
本文
「愛している・・・君は、俺の容姿があるから気持ちを受けてくれないのか?」
「俺はずっと一緒にいたい・・・」
「俺の気持ちを疑わないで」
「君をどんなことがあっても、捨てたりしないから。」
「俺の気持ちを受け止めて。」
from 敦賀蓮
なんてすごいメールを打ってくるの?恥ずかしくて面と向かって逢えないじゃない。
今までの告白だってすごい恥ずかしさで逃げていたのに。
「がちゃっ」
戸を開ける音がして、隠れたい気持ちがキッチンへと向かわせていた。
「最上さん・・・メール見てくれた?」
「いじめっこ〜!!」
涙目でにらみつけられていた。
「でも、わたしも・・・す・・・す」
「す?」
「す・・・うどんでっせ」
「はい〜?」
「もう言いません。からかって遊んでいる人には」
言うのだってすごく恥ずかしいのに気持ちを汲んでくれないなんて最低〜!!
神々スマイルを浮かべて、気持ちを確かめるようにキスされていた。
「俺も・・・好きだよ・・・これからは、ちゃんと言ってね!!」
すごい少年のような期待のまなざしで見つめられてうれしい暖かい気持ちになった。

おしまい

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キスとキスの合間に 蓮視点

その恋は、片想いだった。
 この想いは届かない。
そして自分の戒めもまだ達成できていない今告白することも出来ない。
どれだけ彼女との距離がわずらわしく、切ないものだと感じやるせなさだけが心に渦巻く
この想いを伝えられればどれだけ楽だろうか?
そして、そんな俺を見て社さんは「へたれいつ卒業できるんだ?」と訪ねられていた。
そんなつもりは無かったが、やはり両想いになる為には最上さんの心の氷を溶かす必要があった。
 そんな時、テレビ局でコメンテイターの仕事が入っていた。
普段なら決して請けない仕事だが、今回は訳が違う。
それは、不破尚と彼女もこの番組に出るということだ。
今現在、復讐も止めてしまった彼女は不和尚が強引なアプローチを賭ければ揺らぐかもしれないということだった。
どうか揺らがないでと心の中で叫ぶがどうにもならずに押さえ込むのに必死だ。
「よー、キョーコ今日はちゃんとやってくれよな?」
「わかってるわよ、そんなことあんたに言われなくても私の方があんたより慣れてるんだから!」
順調に撮影が終わり帰るときに事件がおきた。
向こうのほうで不和尚が、彼女を抱きしめようとしていた。
邪悪な思念と嫉妬が身を焦がして詰め寄ると、ほっとしたのか彼女は俺の背後に隠れていた。
その表情は視線だけで人を殺すといわんばかりの顔に不破も頬を引くつかせた。
「大丈夫?最上さん?」
「は・・・・イ・・・だい・・・・じょうぶです。」
心なしか怯えているような気がして肩を抱くと踵を返しその場をあとにしようとした。
「待てよ・・・敦賀さんよ、そいつは今日俺と食事に行くんだよ!」
「最上さん?彼そういってるけど約束していたの?」
キュラキュラ似非紳士スマイル発動させていた。
「い・・・い・・・え、勝手に松太郎がきめているだけです。」
「そう、じゃあ行こうか?」
「はい!」
「待てよ・・・」
俺のライバルと認めたくない相手をライバルにしなければいけないことが心苦しいが、復讐を止めた彼女をいつ不破が射止めるかもわからない!
あせる気持ちがいらだちに変わり今告白しなければダメな気がしていた。
彼女の気持ちが変わってしまう前に俺の気持ちを伝えよう。
放したくないという強い力で、肩を抱いて哀願するような表情で見つめた。
「最上さん・・・送っていくよ、今日もう遅いし。」
車の中では、どうやって告白しようか考えあぐねていた。
そして無言の空間が立ちこめると潤んだ瞳で見上げられて思わず手を伸ばしそうになっていた。
「嫌わないでください・・・」
「どうか、嫌わないで!」
「嫌いになるはず無いだろ?俺は君が好きなんだから!」
はっとした。こんな所で言うつもりなど無かったのに・・・。
大きく見開かれる瞳に涙が零れ落ちていた。
「あ・・・あの敦賀さん?今・・・なんて」
「俺は、君が好きなんだ。」
ぽろぽろと大きな瞳から頬を伝って涙がこぼれていた。
「ひっく・・・う・・・うれ・・・しです・・・ひっく・・・私も・・・好きだったんです・・・ずっと・・・・言えなくて」
そしてお互いに見つめ合ってキスを交わしていた。
いつの間にか心の氷は解けていた。
キスとキスの合間に優しく俺の背中をなでる手があって嬉しさが込み上げた。
俺もキスの合間に君の甘い香りのする柔らかな体を抱きしめた。
そして、恋人になった君は今俺のベッドで穏やかな笑顔で寝息を立てていた。
おしまい

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キスとキスの合間に キョーコ視点

ある日の一日で、テレビのコメンテイターの出演以来が舞い込んできた。
普段なら決して請けない仕事を敦賀さんがうけた。
どういう風の吹き回しかわからないが、敦賀さんらしくない!
あなたは、こんな端役のコメンテイターをゲストで受ける方ではなかった筈なのに・・・。
あるときから私は、敦賀さんのことを抱いてはいけない気持ちに至っていた。
後輩らしからぬ想いを抱えていた。
そんなことも有り踏ん切りをつけるために松太郎に復讐を止めることを宣言した。
それが、もう結構たつのだが。相変わらず松太郎は私のことを小ばかにしたりちょっかいを出してくる。
もう私のような幼馴染のことなどほうっておいて音楽に専念すればいいのにと思うことも多かった。
そんなときに舞い込んだコメンテイターのゲストに犬猿の仲とも言うべき二人と私が出演以来を受けた。
テレビ局内で分かれる3部門のナンバーワンの面々に私と、敦賀さんと松太郎が選ばれていた。
タレント部門 京子 
俳優部門 敦賀蓮 
音楽部門 不破尚 
その番組は、クイズ番組のコメンテイターだった。
「よー、キョーコ今日はちゃんとやってくれよな?」
「わかってるわよ、そんなことあんたに言われなくても私の方があんたより慣れてるんだから!」
収録が無事に終え控え室から出ると、松太郎が待っていた。
それは何か切羽詰っている表情をして、私に抱きつこうとする男の姿に恐怖を感じていた。
こ・・・怖い・・・たすけて・・・つるがさん
ふと足音がしたと思ったら、敦賀さんが近くに来ていて思わず背後に隠れてしまっていた。
その表情を見るとすごい人を殺すような視線で大魔王が降臨していた。
大魔王が降臨した顔で松太郎をにらみつけていた。
松太郎は、おびえた表情をして轢くつかせて頬を強張らせている
「大丈夫?最上さん?」
「は・・・・イ・・・だい・・・・じょうぶです。」
心なしかまだ怒っている気がしてそして私の肩を抱くと局の廊下の先へ促される。
「待てよ・・・敦賀さんよ、そいつは今日俺と食事に行くんだよ!」
「最上さん?彼そういってるけど約束していたの?」
キュラキュラ似非紳士スマイル発動させていた。
「い・・・い・・・え、勝手に松太郎がきめているだけです。」
「そう、じゃあ行こうか?」
「はい!」
「待てよ・・・」
強い力で、肩を抱かれて車に乗ってくれといわんばかりの表情で自分を見つめられていた。
「最上さん・・・送っていくよ、今日もう遅いし。」
車の中では、何か考え込むようでそれでいて怒っているような表情をした敦賀さんがいた。
私嫌われているの?
とたんにそのことがとても悲しくなってきた。
「嫌わないでください・・・」
「どうか、嫌わないで!」
「嫌いになるはず無いだろ?俺は君が好きなんだから!」
「あ・・・あの敦賀さん?今・・・なんて」
敦賀さんは、しまったという顔をして私をじっと見つめている。 「俺は、君が好きなんだ。」
ぽろぽろと大きな瞳から頬を伝って涙がこぼれていた。
「ひっく・・・う・・・うれ・・・しです・・・ひっく・・・私も・・・好きだったんです・・・ずっと・・・・言えなくて」
そしてお互いに見つめ合ってキスを交わしていた。
キスとキスの合間に優しく抱きしめられていた。
そして、自分も敦賀さんの背中を優しくなでていた。
そして、恋人になった今ベッドの敦賀さんの腕の中、慈しむ笑顔で見つめられて夢の中へと落ちていった。
おしまい

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後書き 一応考えて書いてみました。

[2009年 11月 26日]

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